当ブログでは、再三にわたり「ドルコスト平均法ではなく一括投資を」と述べてきました。
一方で、このような真っ当な疑問を持たれた方も多いと思います。
この記事では、一括投資とつみたてNISA活用時の「税後リターン」の比較を行なうことで、疑問に答えていきたいと思います。
一括投資 vs ドルコスト平均法(つみたてNISA活用)の税後リターン比較
さっそく比較していきます。
なお、「投資に回せるお金は期初のまとまったお金のみであり、月々の給与からは投資資金を捻出できない」ものとします。
(そうでないと、この話が成り立ちませんので。)
比較の前提は以下の通りです。
- 1990年1月~2000年4月(124ヶ月)までの任意の月に投資を開始したとする。(投資元本800万円)
- 投資開始後、20年後に全額を一括売却するものとする。(税率は20%で計算)
- 以下の3パターンに関し、投資開始から20年後時点での税後リターンを、開始タイミングごとに比較。
■パターン①:800万円を一括投資(40万円をつみたてNISA口座、760万円を特定口座で投資
■パターン②:400万円を一括投資、残りの400万円を10年間に渡ってつみたてNISA口座で投資
■パターン③:800万円全額を20年間に渡ってつみたてNISA口座で投資
比較結果
比較結果は以下の通り。
税コストを考慮しても、投資タイミングの繰り延べによる機会損失の方がインパクトが大きいため、一括投資に軍配が上がります。
横軸の見方には少し注意が必要です。「一括投資」の場合は、800万円を一括投資した月を表しています。
一方「ドルコスト平均法」の場合は、資金を投下し始めた月を表しています。(その月を起点として、120ヶ月(パターン②)、240ヶ月(パターン③)に渡って資金を投下し続けた時のリターンです。)
ビジュアルで見るとよく分かりますが、税コストを考慮しても一括投資の方がリターンが上回るケースが多いです。
3パターンを比較するため、勝率はではなく勝ち点で示すと以下の通りになります(1位:2点、2位:1点、3位:0点)。
- パターン①(全額一括投資) :1.5点
- パターン②(一括・ドルコスト半々:1点
- パターン③(全額ドルコスト) :0.5点
次に、年平均リターンを箱ひげ図で見てみると以下の通りとなります。
こちらを見ても、税後リターンでも一括投資が最も投資効率が良いことが分かります。
最後に
いかがだったでしょうか。
税コストを考慮しても、リスクにさらす「時間×量」を大きくする方がリターンにインパクトを与えることがお判り頂けたと思います。
さて、記事の中では比較のために以下の前提を置きました。
- 投資に回せるお金は期初のまとまったお金のみ。
- 月々の給与からは投資資金を捻出できない。
一方で、現実的には月々の給与からコツコツ積立投資(※複数回に渡る一括投資)を実施されている方がほとんどだと思います。
- つみたてNISA枠:3.3万円/月
- DC / iDeco枠 :2.8万円/月
さらに、配偶者分も合算すると、業態にもよりますが月々10~12万円の非課税投資枠があります。
月々の給与の中からこの枠をうまく使い切れるように、節約と収入増(副業など)にも力を入れていきたいところです。