突然ですが、「学資保険 必要」「がん保険 必要」「医療保険 必要」などのキーワードで検索していませんか?
そこに出てくる検索結果は、大半が保険会社の記事です。
つまり、保険を売る側の記事ですので、当然「必要である」というトーンで書かれています。
しかし、本当に必要な保険と言うのは実はそんなに多くありません。
この記事では、保険を選ぶときの基本的な考え方を提示します。
いらない保険の特徴をしっかりと理解し、本当に必要な保険だけを選べる知識を身につけましょう。
必要な保険は5つだけ。
①収入保障保険(+介護特則)、②自動車保険、③火災保険、④地震保険、⑤個人賠償責任保険
「保険貧乏」になっていませんか?
皆さんは保険に月いくらぐらい払っていますか?
生命保険文化センターによると、平均的な世帯で1世帯あたり3.2万円/月の保険を支払っているとのこと。
生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(平成30年度)」より
※男女別の平均保険額は、同センター「生活保障に関する調査(令和1年度)」
さて、皆さんは、ご自身がどういう理由で、つまり「どういうリスクに備えるために」保険に加入しているか、きちんと説明できますか?
実はこんなデータもあります。
【保険に対する知識調査】
Q.「あなたは、保険に関しての知識をどの程度お持ちですか?」
※生命保険文化センター「生活保障に関する調査(令和1年度)」より
図の通り、保険について「詳しくない」と答えた人が70%以上。
そして同じ人たちが、月に3万円以上の保険料を支払っています。
単純化すると、「よく分からないけど何となく保険に月3万円払っている」人がほとんどだということです。
断言しますが、保険に3万円も払っている人は、絶対にいらない保険に入っています。
特殊事情を抱えていない一般的な家庭であれば、月に1万円でも多いぐらいです。
このように無駄な保険料を支払っていては、「保険貧乏」になりかねません。
以下では、いらない保険を見極める考え方をお伝えします。
いらない保険の3つの特徴
保険とは①万が一の事態が起きた時に、②莫大な経済的損失を被らないよう備えておくものです。
このように考えると、いらない保険の特徴が見えてきます。
①「万が一」よりも高い確率で発生するものへの保険
よく「保険とは不幸の宝くじ」と言われます。
宝くじ:胴元がお金を集め、利益を抜き、当選した幸運な人に莫大なお金を渡す。
保険 :保険会社がお金を集め、利益を抜き、死亡・病気などが訪れた不運な人に莫大なお金を渡す。
さて、当たり前ですが、宝くじも保険も利益の期待値は大幅なマイナスです。
胴元が多額の利益を取るため、至極当然のこと。
期待値がマイナスにも関わらず、人が宝くじを買うのは、万が一の奇跡が起きた時を夢見てのことです。
では、こんな宝くじがあったらどうでしょう。
- 値段は10,000円
- 当たる確率は50%
- 当たったら12,000円貰える
…誰も買いませんよね?
当たっても何も嬉しくありませんし、夢も何もありません。
このように、当選確率が高いと配分される金額は少なくなります。胴元が儲けるためには当然のことです。
この「当選確率が高すぎる宝くじ」というものを保険に置き換えると、高齢者向けの介護保険などが該当します。
要介護状態になる確率は非常に高く、75歳を超えると急激に増加します。
このような保険は、仮に「当選」しても受けられる保障は非常に小さく、浅く広い保障になってしまいます。
そんな保険に入る意味は全くありません。貯金で備えればいいだけです。
<Todo>公的介護保険制度について、別途記事化します。
②莫大な損失を被らないものへの保険
また、万が一の確率で発生したとしても、莫大な損失を被らないのであれば保険に入る必要はありません。
典型的なものが医療保険です。
そもそも我々は、公的保険として健康保険に入っています。
日本の健康保険は、保障の手厚さという観点ではこれ以上ないぐらい優秀です。
仮に、額面年収700万円の人が病気をして、1か月の医療費が100万円かかったとしましょう。
この時の自己負担額はいくらでしょうか?
窓口負担額は3割の30万円ですが(70歳未満の場合)、高額療養費制度により自己負担額は8.7万円まで減ります。
<Todo>日本の高額療養費制度について別途記事化します。
さらに、サラリーマンの皆さんは会社の健康保険組合からも手厚い補償が受けられます。
具体額は健康保険組合によりますが、8.7万円の負担額のうち、例えば2万円を超える部分は数か月後に組合から支給されるのです。
つまり、1ヶ月に100万円かかるというレベルの大病を患っても、最終的な負担額はたったの2万円。
保険で備える意味は全くありません。
③ 貯蓄型の保険
貯蓄型保険は1つの例外もなく不要です。
生存保険と呼ばれる個人年金保険、学資保険、養老保険などがこれに当たります。
いらない理由を全身全霊をかけて説明していますので、ぜひご一読ください。
保険にはどんな種類がある?
そもそも、保険にはどんな種類があるのでしょうか。
一番大きな区別として、公的保険と民間保険の2つがありますが、ここでは民間の保険についてのみ述べます。
<Todo>公的保険制度については、別途記事化します。
民間保険には、第一分野・第二分野・第三分野の3種類がある
民間の保険は、法律上3つに区分されます。
- 第一分野:生命保険会社のみが取扱い可能な保険。「生死」に関わる保険。
- 第二分野:損害保険会社のみが取扱い可能な保険。「損害」に関わる保険。
- 第三分野:生保・損保ともに取扱い可能な保険。「医療・介護」に関わる保険。
図で表すと、以下のようなイメージです。
細かく見ていくと…
3つの分野の保険にそれぞれどんなものがあるのかを細かく見ていくと、以下の表の通りとなります。
※高齢者向け介護保険は不要。若年者向けは収入保障保険の特則でカバー。
すでに「貯蓄型保険」、「医療保険」、「介護保険」がいらない理由は上で述べていますので、以下ではそれ以外の保険について解説していきます。
<Todo>それぞれの保険の簡単な特徴をまとめます。
必要な保険・いらない保険
さて、それでは1つ1つの保険について見ていきましょう。
(1)収入保障保険 | 必要度 〇
死亡・障害などが発生した場合に、補償が受けられる保険です。
配偶者や子供がいる場合、遺族の生活は不安定になりますので、保険で備えておく必要があります。
この保険の素晴らしい点は、保険契約期間の経過に伴い、保険金の受取総額が徐々に減っていくこと。
60歳までの加入期間・月10万円の保障だとすると、保険金の受取額は以下のようになります。
- 30歳で死亡した場合:月10万円×360ヶ月 = 3,600万円
- 40歳で死亡した場合:月10万円×240ヶ月 = 2,400万円
- 50歳で死亡した場合:月10万円×120ヶ月 = 1,200万円
年を重ねるにつれて、残りの人生で必要なお金は当然減っていきます。
となると、受け取る保険金も徐々に減らしていくのが合理的です。
収入保障保険の仕組みは、生活実態に合ったものと言えます。
非常に合理的な設計になっているため、後述の定期保険と比べて月々の保険料が安いのも魅力です。
<Todo>収入保障保険については別途記事化します。
(2)定期保険 | 必要度△
こちらも収入保障保険と同じく、死亡・障害などが発生した場合に、補償が受けられる保険です。
60歳までの加入期間・3,000万円の保険金だとすると、保険金の受取額は以下のようになります。
- 30歳で死亡した場合: 3,000万円
- 40歳で死亡した場合: 3,000万円
- 50歳で死亡した場合: 3,000万円
いつ時点でも同じ保障額です。
収入保障保険と比較すると分かりやすいですが、年齢を重ねた後の保障内容が過度になっています。
当然、この分は支払う保険料に跳ね返ってきますので、月々の保険料が高くなってしまいます。
(8)自動車保険 | 必要度◎
車を持っている人は、任意保険の自動車保険にも入っておきましょう。
強制加入の自賠責保険にも入っていますが、自賠責保険では補償範囲・補償額ともに限定的です。
また、特則で自転車の賠償責任も付けられますので、こちらにも入っておきましょう。
全部合わせても、月1,000円~2,000円程度です。
<Todo>自転車保険については別途記事化します。
(9)火災保険 | 必要度◎
滅多に起きませんが、起きたら人生が詰む典型的なものです。
必ず加入しましょう。月300~500円程度です。
(10)地震保険 | 必要度◎
こちらも起きる確率は非常に低いですが、地震で家が倒壊などすれば、人生が終わりかねません。
必ず加入しましょう。月600~800円程度です。
(11)個人賠償責任保険 | 必要度◎
軽視されがちですが、必ず入っておきましょう。
他人の物を壊したり、日常の些細な事故で相手にけがを負わせてしまった場合など、時には多額の損害賠償を負うことになります。
楽天経済圏の住人へのおすすめは、楽天カード超かんたん保険の「個人賠償プラン」。
月280円の負担で、SPUが+1倍になります。
その他、JCBのトッピング保険(月150円)などもおすすめです。
<Todo>楽天カードの個人賠償保険については別途記事化します。
(12)海外旅行保険 | 必要度△
多くの方がクレジットカードを持っていることと思います。
補償としてはクレカの付帯保険で十分かなと思います。
ただし、当該カードでの支払い分に限る、家族は補償の対象外など色んな条件が付きますので、慎重な検討が必要です。
<Todo>海外旅行保険については別途記事化します。
(21)傷害保険 | 必要度×
傷害保険は、国内外における、仕事中のケガ、交通事故によるケガ、家庭内でのケガ、旅行中のケガ、スポーツ中のケガ等が補償の対象になる保険です。
医療保険と同じく、公的な保険+会社の健康保険組合で大半がカバーされるため、入る必要はありません。
さいごに
まとめと結論をもう一度述べておきます。
- たいていの保険はいらない。
- 必要な保険は5つのみ。
①収入保障保険(+介護特則)、②自動車保険、③火災保険、④地震保険、⑤個人賠償責任保険
5つすべてに加入しても、保険料は5,000円~10,000円程度です。
月3万円の保険料がいかに無駄か、分かって頂けましたでしょうか。